563Aの分配金はなぜ韓国ETFより少ない?原因を公開データで確かめました。

2026年10月1日

563Aは、NASDAQ100のカバードコールで「年15%程度の分配」を目指す東証のETFです。

中身は韓国のETF(486290)。こちらは実際に年15%前後を分配しています。

ところが563Aの分配金は、9月で1口10円。年率にすると約11%です。

中身は同じなのに、4%も少ない。

韓国で税金を抜かれているなら、わざわざ563Aを買う意味はありません。僕も563Aを持っているので、本当にそうなのか公開データで確かめました。

結論

  • 差の半分は韓国の税金。ただし課税口座なら日本の税金から差し引かれるので、ほぼ損はしない
  • 残りは希薄化。人気すぎて口数が急に増え、分配金が薄まっただけ。お金は基準価額に残っている
  • 正体不明の目減りは見つからなかった

疑問:15%のはずが11%

分配年率
韓国ETF 486290月130ウォン前後約15%
563A7月14円・8月9円・9月10円約11%

※563Aは9月の10円を基準価額(約1,070円)で年換算

Global Xは「15%はオプション料の目標で、分配利回りを約束するものではない」と説明しています。でも中身の韓国ETFが実際に15%出している以上、それは答えになっていません。

仮説:犯人候補は3つ

563Aの分配金が届くまで:韓国の税金、信託報酬、希薄化、日本の税金が発生する場所
  1. 韓国の税金:韓国ETFから563Aに分配されるときに引かれる
  2. 希薄化:分配金の元を、増えた口数で山分けしている
  3. 手数料:韓国ETFを挟むぶん、コストが余計にかかる

調査:9月の10円を分解してみた

Global Xが毎月公表している税金のデータと、日々の純資産・基準価額から計算した口数を使いました。

9月の分配金の内訳:本来13円が韓国の税金と希薄化で10円に

本来なら1口13円もらえるはずが、韓国の税金で2円、希薄化で1円減って、10円になっていました。

手数料は563Aのぶんが年0.0275%なので、月0.02円。ほぼ無罪です。

韓国の税金:引かれるけど、日本で取り戻せる

韓国では約15%の税金が引かれています(7〜9月の実績で14.7〜16.1%)。

「やっぱり損じゃん」と思いましたが、そうでもありません。563Aには二重課税調整という仕組みがあり、韓国で払った税金を日本の所得税から差し引けます。

100円の収入で比べるとこうなります。

韓国の税金日本の税金手取り
外国税がかからないETF0円約20円約80円
563A(9月)約15円約5円約80円

手取りは同じ。日本に払うはずの税金を、先に韓国に払っているだけです。

ただし注意点が2つあります。

  • 韓国の税率が15.3%を超えた月(7月・8月)は、はみ出たぶんが戻らない。損は年0.1%くらい
  • NISAではこの仕組みが使えない(そもそも563AはNISA対象外)

希薄化:人気すぎて薄まった

563Aの分配金は、ざっくり言うと次の計算で決まります。

分配金 = 韓国ETFから受け取ったお金 ÷ 563Aの決算日の口数

受け取るお金は、韓国ETFの権利確定日(月末)に持っていたぶんだけで決まります。そのあと563Aが人気で口数が増えると、同じお金をより多くの口数で山分けすることになります。

9月は、権利確定時点の5,118万口から決算日の5,608万口まで、2週間で1割増えていました。分配金も1割薄まった計算です。

7〜9月決算の希薄化:分配金の元を受け取った口数と山分けした口数

7月はもっと極端です。上場直後の少ない口数で受け取ったお金を、2倍以上に増えた口数で分けたので、本来の4割ほどしか出ていません。

ただ、これは損ではありません。分配されなかったお金はETFの中に残り、基準価額に含まれています(東証マネ部の解説)。減ったのは「毎月の現金」で、資産は減っていません。

検証:3か月とも同じ答えになるか

9月だけ合っても偶然かもしれないので、7〜9月すべてで税金と希薄化を足し戻してみました。

563Aの口数の推移と、韓国ETFの権利付最終日・563Aの決算日の位置

青い点(分配金の元を受け取った時点)と、オレンジの点(山分けする時点)の差が、各月の希薄化です。

決算実際の分配金税金と希薄化を戻すと(年率)
7月14円14.9%
8月9円14.4%
9月10円14.7%

3回とも、韓国ETFの分配率(組入比率を考えると約14.9%)とほぼ同じ。どこかでお金が消えているわけではありませんでした。

おまけ:AIの答えも間違っていた

この記事はChatGPTとの議論がきっかけです。純資産などの数字は正確でしたが、「9月の分配金は9円」という前提が違っていました。9円は途中の見込額で、確定したのは10円です。

AIはこの9円を説明する、もっともらしい理屈まで組み立てていました。数字は一次資料で確かめないと危ない、という教訓です。

結論:563Aは買いか

  • 「税金で損するから買わない」は、課税口座なら当てはまらない
  • ただし15%は出ない構造。資金流入が止まっても、表面の利回りは12〜13%くらい
  • いま分配金が少ないのは、損ではなく「薄まっている」だけ

563Aは上場以来、JEPQやQQQIなどNASDAQ100系のカバードコールETFと比べて、トータルリターンが一番よかったです。563Aは4月の設定から9月28日までで、分配金込み+10.6%でした(Global Xの運用実績より)。

今回の検証で、分配金が少ないのは「損」ではなく「薄まっている」だけだと確認できました。想定が大きく外れなければ、このまま持ち続ける予定です。

次に見るのは、資金流入が落ち着いた月に1口11円前後が出るかです。

10月の予想(答え合わせは追記します)

韓国ETFの9月分配が132ウォン前後なら、10月10日決算の563Aは10円か11円と予想します。口数が大きく増えれば10円、ほぼ増えなければ11円です。

これで9円以下なら、どこかに見落としがあります。

参考資料